日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
第IV 病期の下大静脈内腫瘍栓を伴う腎細胞癌の1 手術例とその文献的考察
早川 真人松林 景二大橋 宗洋鈴木 啓宮下 浩明中野 且敬
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2015 年 24 巻 1 号 p. 54-58

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抄録

要旨:腎細胞癌(RCC)の3~10%の症例で下大静脈(IVC)内に腫瘍栓子を合併するとされるが,今回われわれは右RCC の腫瘍栓がIVC に進展した症例に対して右腎癌摘除および腫瘍栓摘出術を施行した1例を経験したので報告する.症例は63 歳男性.前医にて右腎腫瘍を指摘され当院へ紹介.当院での造影CT でIVC 内への浸潤を伴う右腎腫瘍を認めた.肺転移・骨転移を認め第IV 病期と考えられたが腫瘍摘出術施行となった.手術は開腹後に右腎腫瘍と肝臓の剝離を進め,右腎動脈と右尿管を結紮切離後,右腎静脈とIVC を露出.その後IVC の中枢・末梢側および左腎静脈を遮断.IVC を切開し,腎腫瘍と腫瘍栓を一塊として摘出した.IVC は直接縫合にて修復した.術後特に合併症なく,術後9 日目に独歩退院となった.摘出病変はRCC であった.IVC 内腫瘍栓を伴うRCC は術前評価を十分に行い,それに応じた術式を選択することが重要である.

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