抄録
要旨:腹部大動脈瘤破裂に対し,小口径IABO カテーテルのRescue Balloon を使用し,救命した症例を2 例経験したので報告する.症例1 は85 歳男性,腹部瘤破裂による後腹膜血腫(Fitzgerald III 型)および当院搬入後ショック状態に対し緊急人工血管置換術施行した.症例2 は76 歳男性,腹部瘤破裂(Fitzgerald IV 型)によるショック状態で当院搬送され,緊急開腹人工血管置換術を施行した.どちらも左上腕からIABO カテーテルをTug of wire 法を用いて腎動脈上腹部大動脈に進め,大動脈遮断を行った.遮断中中枢側からの出血はほとんどなく,人工血管との吻合はすべてinclusion 法で行った.2 症例とも後遺症なく退院した.上腕動脈からのRescue Balloon による大動脈遮断は術前血圧を安定させ,術中,良好な視野で,安全かつ確実な人工血管の中枢吻合ができる点で有用であった.