日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
A 型急性大動脈解離の病態と治療成績
内田 敬二輕部 義久安田 章沢宮本 卓馬松木 佑介磯田 晋郷田 素彦鈴木 伸一益田 宗孝井元 清隆
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 24 巻 3 号 p. 127-134

詳細
抄録

要旨:【目的】A 型急性大動脈解離に対する過去20 年間の治療成績を報告する.【対象】当施設において初期治療を行ったA 型解離673 例.【方法】初期治療や手術法,とくに臓器血流障害に対する再灌流先行治療などが現在の方針に確立した2009 年以降225 例を後期,2008 年までの448 例を前期として治療成績を比較検討した.【結果】60 歳未満で男性が,60 歳以上で女性が有意に多かった.血栓閉塞型は高齢者に多く心囊内出血の発生が高率であった.臓器血流障害の合併は172 例26%に認めた.全673 例の入院死亡率は15%で,大動脈修復(CR)を施行した579 例では10%であった.CR 施行例では前期手術,臓器血流障害,術前CPA が有意な死亡危険因子であったが,後期の死亡率は5%に低下し有意な危険因子はなくなった.【結論】A 型解離の手術成績は向上し,臓器血流障害合併症例では虚血臓器の再灌流を先行する方針が有効であった.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
次の記事
feedback
Top