日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
急性大動脈解離に対する胸部ステントグラフト内挿術の治療成績
古田 晃久小出 昌秋國井 佳文渡邊 一正前田 拓也神崎 智仁岡本 卓也高柳 佑士東 隆
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2015 年 24 巻 7 号 p. 945-951

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抄録

要旨:【目的】合併症を有するStanford B 型急性大動脈解離および逆行性Stanford A 型急性大動脈解離に対する胸部ステントグラフト内挿術の臨床成績について検討する.【対象】当院で急性大動脈解離に対して胸部ステントグラフト内挿術を施行した20 例を対象に後方的調査を行った.【結果】平均年齢64.9±11.6歳,男女比は16:4,形態的分類はStanford A 型・B 型はそれぞれ3 例,17 例,Stanford B 型のうち合併症を有する症例は8 例(分枝虚血4 例,破裂3 例,下肢虚血1 例)であった.発症からTEVAR までの平均期間13.9±25.0 日,使用デバイスはTAG 1 例,Conformable TAG 15 例,RELAY Plus 2 例,VALIANT 1 例,Najuta 1 例であった.4 例で非解剖学的バイパス術を追加した.デバイス成功率100%,術後死亡なく,術後合併症は不全対麻痺1 例,脳梗塞1 例であった.デバイス関連合併症を認めず,標的部位の偽腔血栓化は全例で術後急性期に得られ,術後早期~中期にかけて真腔径の拡大,偽腔の縮小を認め,エンドリーク等による瘤径拡大はみとめなかった.【結語】急性大動脈解離に対する胸部ステントグラフト治療は有効で安全に施行可能であった.

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