日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
術後抗血小板療法中に薬剤抵抗性が原因でグラフト閉塞をきたした1 例―術後抗血小板療法における凝集能評価の意義を考える―
滝内 宏樹本田 威柚木 靖弘正木 久男杭ノ瀬 昌彦種本 和雄
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2015 年 24 巻 7 号 p. 991-995

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抄録
要旨:我が国における末梢動脈疾患治療はTASC II に準じて行われており,血行再建術後の抗血小板薬の投与が推奨されている.薬効評価については触れられていないが,日本人の約20%はクロピドグレルに抵抗性を示すと言われている.われわれは,60 歳代男性で内服コンプライアンスが良好であったにもかかわらず,下肢血行再建術後にグラフト血栓閉塞をきたした症例を経験した.血小板凝集能を測定したところ,VerifyNow PRU 209,抑制率0%であり,クロピドグレルの抵抗性が疑われた.CYP2C19 の遺伝子多型はGenotype が*2/*2 で,poor metabolizer と確定した.術後よりアスピリン+シロスタゾール+ワルファリンの投与に変更し,現在まで良好な開存を得ている.PAD 治療に抗血小板療法は必須であり,出血や血栓性合併症予防において抗血小板療法中の凝集能評価は重要であると考える.
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