日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
ベーチェット病に伴う腹部大動脈瘤にたいするEVAR(endovascular aortic repair)においてPower Link が有効であった1 例
浅野 竜太佐藤 敦彦片岡 豪立石 渉中野 清治
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 25 巻 p. 173-176

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抄録
要旨:近年,ベーチェット病の腹部大動脈瘤に対する手術治療において,人工血管置換術に変わりEVAR(endovascular aortic repair)による良好な成績が報告されているが再発する症例もあり,依然として治療のハイリスク群である.56 歳の男性.ベーチェット病と診断されて26 年目に腹部大動脈に60 mm の囊状瘤を指摘された.術前にステロイドの増量を行い炎症のコントロールを行った後にPower Link(Endologix 社:米国)を用いてEVAR を行った.術後経過は良好で34 カ月後も瘤径拡大や再発を認めていない.Power Link はePTFE で覆われたワンピース型の構造のため,囊状瘤の多いベーチェット病血管病変において,細い腸骨分岐部での脚閉塞のリスクが少ない利点があり,また金属が大動脈内膜と接触せず他機種より血管壁への刺激が少なく本症例には有効であったと考えられる.
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