日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
Chronic Kidney Disease 症例に対するステントグラフト治療時の腎保護対策
大谷 享史中山 泰介白坂 知識元木 達夫来島 敦史福村 好晃
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2016 年 25 巻 p. 47-51

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抄録

要旨:慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)併存症例に対するステントグラフト(SG)治療時に,術前からの等張性輸液の持続投与,等浸透圧造影剤の使用,造影剤使用量減量を目的とした血管内超音波(IVUS: intravascular ultrasound)使用を原則とした腎保護対策を2013 年3 月から導入した.その有効性を検討した.対象は術前クレアチニン(Cr)1.5 mg/dl 以上または術前estimated glomerular filtration rate(eGFR)45 ml/min/1.73 m2 未満の24 例.腎保護対策を行った12 例(A 群)と導入前の12 例(B 群).術中使用造影剤量はA 群43.8 ml,B 群125.1 ml (P<0.001)であった.造影剤腎症(contrast induced nephropathy: CIN)発生率はA 群0%,B 群41.6%(P=0.01)であった.術後Cr とeGFR の推移(術前値と術後1,3,6,12 カ月値との比較)は,A 群では変化はなかったが,B 群で有意に悪化した.術中の腎保護が遠隔期にも影響を及ぼした.当科で行っている腎保護対策はCKD 症例に対するSG 治療に有効であった.

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