日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
緊急EVAR 直後の再ショックに対して,開腹でステントグラフトを部分温存して血行再建を行った破裂性腹部大動脈瘤
宮野 雄太三岡 博寺井 恭彦川口 保彦田中 宏和山崎 文郎
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2016 年 25 巻 p. 149-153

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抄録
要旨:症例は75 歳男性.意識消失のため前医へ搬送.造影CT にて破裂性大動脈瘤(rAAA)で後腹膜血腫の範囲はFitzgerald 3 型と診断された.当院救急搬送後にショックとなった.Hardman Index は2 点(Hgb<7.7,意識消失あり).腎動脈上バルーン遮断(BAO)下の緊急EVAR 後,一時的に循環動態は安定した.1 時間後に腹部が緊満し再びショックとなった.造影CT では血腫の増大と腹腔内出血を認めた.再びBAO を行い緊急開腹すると,腹腔内から大量の血液が噴出した.中枢側をbanding して大動脈瘤壁を切開し,腰動脈を刺通結紮して止血した.これらの操作中に末梢から脱却気味となったステントグラフト右脚を抜去して,さらに低位の腰動脈や正中仙骨動脈を止血した後,メインボディ対側ゲートから人工血管で右総腸骨動脈への血行再建を行った.術後36 病日に独歩退院となった.
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