日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
内シャント狭窄・閉塞症例に対する治療成績
江口 大彦本間 健一
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 25 巻 p. 250-254

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抄録

要旨:【目的】当院では,内シャントトラブル(狭窄・閉塞)に対して,狭窄例ではPTA(percutaneous transluminal angioplasty),閉塞例では外科的血栓除去(surgical thrombectomy)に必要に応じてballoon angioplasty(BA)を追加施行することを第一選択としている.今回,これらの治療成績を報告し考察を加える.【方法】2007 年4 月から2015 年7 月までの内シャント機能不全(狭窄)症例1421 例,閉塞症例1022 例を対象とし,それらの治療成績・初期成功・合併症などを検討した.【結果】狭窄例に対するPTA の手技時間はAVG(arteriovenous graft)症例,AVF(arteriovenous fistula)症例においてそれぞれ23±14 分 vs 29±16分(p<0.001)とAVG 症例で有意に早かった.閉塞例に対するST(+BA)の手技時間はAVG 症例,AVF 症例においてそれぞれ52±2 分 vs 66±3 分(p<0.001)とAVG 症例で有意に早かった.閉塞例における術中出血量はそれぞれ101±7 g vs 69±6 g(p<0.001)とAVG 症例で多かったが,術中合併症・不成功症例は21 例(4.3%) vs 29 例(11%)と有意にAVF 症例で多かった(p<0.001).【結論】当院におけるシャント狭窄に対するPTA,閉塞に対するST(+BA)の治療成績は,短時間かつ低侵襲に施行可能で満足の行く治療成績であった.閉塞例に対するST(+BA)は手技時間・合併症ともにAVG 症例よりAVF 症例で不良であった.

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