2016 年 25 巻 p. 321-328
【目的】腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術後(EVAR)の動脈瘤縮小は,良好な長期予後の予測因子であり,Type II endoleakは,動脈瘤非縮小の因子である.そのため,EVAR後早期Type II endoleakに関連する大動脈分枝を特定し,EVAR術中にそれらの分枝のコイル塞栓を試みた.【方法】Type II endoleakに関連する分枝の検討は,56例で行い,コイル塞栓は,24例に試みた.【結果】2.5 mm以上の下腸間膜動脈(IMA)が開存しているとType II endoleakの頻度は80%以上で,2.5 mm未満のIMAが開存しているか,2 mm以上の腰動脈(LA)が2本以上開存しているとType II endoleakの頻度は,約50%であった.コイル塞栓は,IMAでは16本中15本(93.8%),LAでは45本中29本(64.4%)で施行でき,コイル塞栓に起因すると思われる合併症は認めなかった.コイル塞栓を行った群では,術後7日目の造影CTで検出されたType II endoleakの頻度が,有意に低かった(4.2% vs 58.9%, p<0.0001).【結論】EVAR術中のIMA, LAに対するコイル塞栓は,Type II endoleakの予防に有用と思われた.