透析患者の心血管障害は非透析患者の数十倍以上の危険率で生じ,予後は極めて悪い.根底には炎症から血管内皮障害に加えて血管石灰化が大きな問題となっている.ワルファリンやCa含有リン吸着薬はこの石灰化に大きな悪影響を与えている.臨床的に問題となる以前から組織あるいは臓器の末梢微小循環障害が生じている.こうした問題は冠動脈のみならず末梢動脈さらには頭蓋内白質穿通枝にも共通した問題であり,透析導入以前のGFR30~45 mL/min/1.73 m2から生じている.保存期腎臓病から血圧管理のみならず,リン管理やインスリン抵抗性・アシデミアなどを十分管理し,透析導入後は十分な量の透析やダイアライザーの選択あるいはOn-line HDFなどmodalityの選択など尿毒症病態を改善することである.