2017 年 26 巻 1 号 p. 1-4
血管内治療後の穿刺部の止血に際して,さまざまな止血デバイスが普及している.しかし,急性動脈閉塞や下肢虚血症状の悪化を来した報告もあり,適正使用が重要である.今回,われわれは頸動脈の血管内治療後に下肢虚血の悪化を来した1例を経験したので報告する.症例は70歳男性.慢性閉塞性動脈硬化症があり,57歳時に右総腸骨動脈にステントを留置した既往があった.今回は,頸動脈へのステント留置を施行した.Angiosealにて穿刺部の止血を試みたが止血が不良であり,圧迫止血を追加して止血を得た.3日後,右下肢の疼痛と感覚障害が出現し,超音波検査・CT検査にて右下肢総大腿動脈の狭窄の悪化を認め,止血デバイスによる合併症が疑われ,手術を施行した.右総大腿動脈を切開すると内部に膨張したアンカーを認め,高度の狭窄を来していた.異物を除去し,血行再建手術を施行し,虚血症状は改善した.