日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
講座
高安動脈炎
渡部 芳子
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 26 巻 1 号 p. 25-31

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抄録

高安動脈炎は大動脈とその分枝や肺動脈に非特異的炎症を生じる疾患である.若年女性に好発するが男女比は国によって異なり,日本でも男性の発病者は以前と比べ多い.また中高年以降の発症も少なくない.発症初期には発熱や倦怠感に加え,疼痛症状を訴える患者が多い.弓分枝を含んだ罹患が最多だが,若年女性では弓分枝限局型,男性では腹部限局型もみられやすい.近年では動脈に狭窄や拡張をきたす前の初期病変も画像診断が可能になった.観血的治療を要する患者では,治療は原則的に炎症の非活動期に行う.炎症の制御が再狭窄や吻合部トラブルの回避につながる.本疾患では動脈硬化性疾患と比べ,閉塞性病変に対する血行再建術後に再狭窄が生じやすい.開存成績は,バイパス手術よりも血管内治療でさらに劣る.治療の適応と戦略については,侵襲度,患者の免疫抑制状態や保存的観察の可否なども考慮し,集学的チームでの検討が望まれる.

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