日本血管外科学会雑誌
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症例
高度脳虚血症状を伴った血管ベーチェット病に対する二期的血管内治療が奏功した1例
原 正幸 前田 剛志金岡 祐司大木 隆生
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2017 年 26 巻 2 号 p. 95-101

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抄録

今回われわれは血管ベーチェット病による両側内頸動脈閉塞,左鎖骨下動脈閉塞のため高度の脳虚血症状の患者に二期的血管内治療が奏功した症例を経験したので報告する.症例は18歳,女性,12カ月におよび薬物治療を行ったが両側総頸動脈閉塞と左鎖骨下動脈閉塞に伴う脳虚血症状を呈し脳虚血が進行し脳梗塞を発症し高次脳機能障害,易疲労感や意欲低下が持続していた.来院時造影CTでは両側総頸動脈と左鎖骨下動脈の閉塞を認め,脳への唯一の血流源である右椎骨動脈の中枢側の右鎖骨下動脈に高度狭窄を認め,極めて高度の脳虚血状態であった.まず,虚血解除による過灌流症候群の予防のため左総頸動脈にPTAを施行し,二期的に左総頸動脈ステント術(covered stent)と右総頸動脈と右鎖骨下動脈のPTAを施行した.術後経過は良好で高次脳機能障害は改善し,術後3年経た現在に至るまで再狭窄や脳虚血症状の再発は認めていない.

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