日本血管外科学会雑誌
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症例
腸腰筋膿瘍に合併し,急速拡大した感染性腹部大動脈瘤に対し腸腰筋膿瘍ドレナージとEVARが奏功した1例
服部 将士 松村 祐八巻 文貴
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 26 巻 2 号 p. 145-148

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抄録

腸腰筋膿瘍に合併した感染性腹部大動脈瘤に対して腸腰筋膿瘍ドレナージとEVARを行い奏功した1例を経験したので報告する.症例は62歳,女性で1カ月前からの左腰鼠径部痛を主訴に前医より紹介され,CTで腸腰筋と一部境界不明瞭な腎動脈下腹部大動脈瘤を認め入院加療とした.入院後も炎症反応上昇が続き,CTで腸腰筋膿瘍とこれに接した不整形の腹部大動脈瘤を認め,感染性腹部大動脈瘤を疑い抗菌薬投与を開始した.腸腰筋膿瘍ドレナージ液からYersinia enterocoliticaが検出された.入院1カ月後に再び左腰鼠径部痛が再燃し,CTで腹部大動脈瘤切迫破裂が疑われ緊急EVARを行った.術後経過は良好で,CTでエンドリークなく,腸腰筋膿瘍は縮小していた.術後7カ月時のCTでは膿瘍腔は消失し,その後も感染の再燃はなく術後は18カ月経過しているが合併症なく経過している.

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