日本血管外科学会雑誌
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症例
外傷性咽頭後間隙血腫診断後に発症したStanford B型急性大動脈解離の1治験例
神藤 由美 深田 睦西巻 博寺田 仁
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2017 年 26 巻 3 号 p. 189-194

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抄録

稀な疾患である咽頭後間隙血腫(RH)診断後に続発したStanford B型急性大動脈解離(AAD(B))の本邦報告例はないため,文献的考察を加えて報告する.症例は66歳男性.背部より2 m転落2時間後に呼吸苦が出現し前医を受診,CTでRHおよび血腫圧迫による気管狭窄を認め当院転送となった.搬送中呼吸不全となり,緊急気道確保後にCTを再検するとAAD(B)・偽腔閉塞型を認めた.内科治療を行うも治療抵抗性の疼痛・高血圧が持続し,偽腔再開存および瘤径拡大を認めた.RHの増大が治まると痛み・血圧とも制御可能となったが,偽腔開存部瘤径拡大は続くためRH縮小を確認した後,AAD(B)に対しステントグラフト内挿術(SG)を行い軽快退院し得た.RHに続発したAAD(B)であっても致死的合併症を来した場合の外科治療は,時期を問わずに文献上SGが人工血管置換術よりも成績が良く第一選択と考える.

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