2022 年 31 巻 3 号 p. 157-185
2013年以降,日本血管外科学会は,我が国の血管外科医により行われている重症下肢虚血(critical limb ischemia; CLI)診療の現状を明らかにし,その結果を現場の医師に還元することで,医療の質の向上に貢献することを目的として,全国規模のCLI登録・追跡データベース事業を開始した.このデータベースは,非手術例も含むCLI患者の背景,治療内容,早期予後,および治療後5年までの遠隔期予後を登録するもので,JAPAN Critical Limb Ischemia Database(JCLIMB)と呼称し,NCD上に設置されている.2019年は83施設が1070肢(男性725肢:68%,女性345肢)のCLIを登録し,うちASOが1047肢(男性714肢:68%,女性333肢)で,全体の98%を占めた.この年次報告書では,登録肢の背景,虚血肢状態,治療,治療後早期(1 カ月)の予後を集計し報告する.なお,2019年7月からNCDにおける両側同時手術症例の登録様式は1例2肢に変更されたが,JCLIMBでは過去の年次報告との齟齬をなくすため,これまで通り,2例2肢として集計した.