日本血管外科学会雑誌
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症例
膀胱尿道全摘出術後の尿管腸骨動脈瘻に対してカバードステントグラフトを留置した1例
村瀬 亮太 布施川 真哲本橋 雅壽
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2024 年 33 巻 4 号 p. 219-222

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抄録

尿管動脈瘻は稀な疾患ではあるが,出血や感染の併発の程度によっては致死性の高い疾患である.今回われわれは,尿管皮膚瘻増設を伴う膀胱全摘出術後に来した尿路感染を伴う尿管–総腸骨動脈瘻に対し,抗生剤での感染制御後早期にカバードステントグラフトを使用し,良好な経過を得た1例を経験したので報告する.当科初診時は尿路感染を伴っていたため,2週間程度の抗生剤治療で感染兆候が落ち着いた段階で,待機的に左総腸骨動脈へカバードステントを留置した.術後経過は良好で,術後速やかに血尿は改善した.現在術後12カ月経過しているが,血尿再燃やステントの感染兆候なく安定して経過している.今後も血尿再発やデバイス感染,グラフト閉塞に関し,厳重な経過観察を要する.

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