日本血管外科学会雑誌
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症例
浅側頭動脈真性瘤の1例と本邦報告例の集計
北尾 真友子髙木 寿人
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電子付録

2025 年 34 巻 4 号 p. 113-119

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抄録

症例は76歳,女性.2週間前に右耳前部の鈍痛があり,触れると米粒大の腫瘤に気が付いた.その後徐々に増大してきた.右耳前部に15×15 mmの拍動性腫瘤を認め,発赤,熱感,自発痛,圧痛はなかった.超音波検査で腫瘤内および腫瘤の流入・流出血管に血流を,造影CT検査で右耳介前部の浅側頭動脈に9 mm大の動脈瘤を認めた.CTやMRA検査で大動脈・脳・腸骨・内臓動脈に動脈瘤はなかった.浅側頭動脈瘤と診断し,局所麻酔下に切除した.病理組織検査では内膜肥厚と中膜囊胞壊死(cystic medial necrosis; CMN)を認めたが,炎症所見はなく3層構造は保たれていて,真性瘤と診断した.本邦報告に自験例を加えた28例の集計では,3例(10.7%)でCMNあるいはCMN類似所見がみられた.腹部大動脈瘤3例,脳動脈瘤3例,脾・腎・外頸動脈瘤各1例の計9例(32.1%)で,浅側頭動脈以外の動脈瘤を合併していた.

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