2025 年 34 巻 4 号 p. 133-137
バージャー病は希少疾患で,主に若年喫煙者に生じ,四肢遠位部に炎症性血栓閉塞をきたす疾患である.内弾性板は破壊されず保たれる.症状は急速に進行することが多く,病院に初めに受診するときには既に,手指や足趾の先端に潰瘍や壊死を生じている患者が多い.世界中で患者数は減少しているが,診断基準には一貫性がない.日本では2024年度から,難病登録のための診断基準が改訂された.身体症状に加えて血管画像所見と他疾患との厳密な鑑別を含んだもので,喫煙歴がはっきりしない場合や,高齢発症や動脈硬化リスクの合併だけでは,診断から除外されなくなった.治療の基本は禁煙である.他は慢性動脈閉塞症の治療に準ずる.末梢病変で逍遥性静脈炎も伴いうるが,バイパス術や血管内治療も考慮できる.指趾の切断や大切断は,患者の就労を困難にする.初診時に潰瘍や壊死があると切断の危険が高いため,疾患について広く周知させることが求められる.