2026 年 35 巻 3 号 p. 129-132
膝窩動脈瘤は末梢動脈瘤の中で比較的頻度が高く,血栓塞栓症や破裂を発症するが,神経圧排による神経症状を呈することは比較的稀である.症例は81歳男性.1カ月前からの左下肢脱力および感覚鈍麻を主訴に受診した.造影CT検査で30 mm大の左膝窩動脈瘤を認め,下肢MRI検査で瘤による総腓骨神経の圧排所見を認めた.神経伝導検査で左総腓骨神経の複合筋活動電位の低下を認めており,膝窩動脈瘤による総腓骨神経麻痺と診断した.動脈瘤による物理的な圧迫解除が症状改善に必要と判断し,後方アプローチによる外科的動脈瘤切除を選択した.自家静脈では動脈との口径差が大きく,不適であったため人工血管を用いた血行再建を行った.術後経過は良好で,下肢の脱力症状は消失した.膝窩動脈瘤に対する治療には,血管内治療,外科的治療があり,その際のグラフト選択は重要で,患者背景,病態,解剖学的特徴をふまえ適切な選択が必要である.