論文ID: 12-00055
要 旨:症例は74歳男性.多発性嚢胞腎を合併.71歳時に傍腎動脈型腹部大動脈瘤に開窓型の大動脈ステントグラフトと両側腎動脈へのcovered stentを使用した腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術が他施設で施行されていた.右腎動脈へのcovered stentと大動脈ステントグラフトとの間のtype IIIエンドリークが指摘されていたが,突然の腹痛とショックで当院へ救急搬送され,CTにて大動脈瘤破裂と診断した.右腎動脈に挿入されたcovered stentとステントグラフト開窓部の間が完全に離れており,そこからのエンドリークが破裂の原因と診断できたので,腎動脈を閉鎖する位置で自作ステントグラフトによる緊急ステントグラフト内挿術を行った.手術後は透析が必要となったが,瘤径の縮小化を得ることができた.腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術後に新たなエンドリーク出現による瘤破裂が認められることがあり,とくにtype IIIエンドリークが出現した場合には早急な外科治療の介入を考慮すべきである.