抄録
要旨:感染性腹部大動脈瘤破裂に対してステントグラフト内挿術および後腹膜膿瘍に対する持続洗浄を行い治癒し得た症例を経験したため報告する.症例は77 歳,男性.腹痛と意識消失発作を主訴に前医受診し,腹部大動脈瘤破裂の診断にて当院搬送となった.炎症反応高値および後腹膜の肥厚を認め,感染性腹部大動脈瘤破裂の診断にて緊急手術を行った.手術はステントグラフトおよび一期的に開腹下の洗浄ドレナージを行った.術後抗生剤投与および後腹膜腔持続洗浄にて感染制御は良好であったが,ステントグラフト中枢端に仮性瘤形成を認めたため,術後21 日目に追加血管内治療を要した.その後は感染の再発なく,術後12 カ月が経過するが合併症なく経過している.