水環境学会誌
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原著論文
高濃度酸素水供給に伴う三瓶ダム湖底層水の酸素収支に関する研究
増木 新吾相崎 守弘坂本 勝弘
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2011 年 34 巻 9 号 p. 115-123

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抄録

本研究では,2004~2008年にかけて三瓶ダム湖底層水の水温成層の形成時期や溶存酸素の分布について調査を行った。2006年には酸素供給装置(松江土建株式会社:WEP system)を用いてダム湖底層水に高濃度酸素水を供給する実験を行った。その結果,水温躍層は水深12 m(EL:115 m)にあり,躍層以深の水温は年間を通じて7℃程度であった。冬季の上下循環により底層水(528,000 m3)に運び込まれる酸素量は5,000~6,000 kgであり,底層水全体における酸素消費速度は58.6~32.0 kgO2・d-1であったことから夏期には完全に枯渇することがわかった。WEPシステム運用時期における水温成層の破壊はなく,高濃度酸素水は装置から上流800 mまで拡がり,運用開始4週間後にはダム湖底層全体の8.7 haの面積に拡がった。この時,酸素供給効率は82~87%であった。

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© 2011 公益社団法人 日本水環境学会
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