水環境学会誌
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技術報告
蛍光浸透探傷検査(FPI)排液の生物処理の実証
福永 栄塩谷 吉信永関 和元
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2013 年 36 巻 3 号 p. 91-98

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抄録

含有有機物が難分解とされ主に凝集処理されてきた,CODCr 400~1600 mg·L-1の蛍光浸透探傷検査(FPI)の排液を,ポリウレタンフォーム製スポンジを投入した生物処理システムで浄化することに成功した。2カ所の工場での通算2年間の試験において,滞留時間4日の生物処理工程で80%以上,活性炭の後処理を含む全システムで97%以上のCODCr除去率を,凝集剤不使用の条件で達成した。排液中のn-ヘキサン抽出物質濃度は50~200 mg·L-1であったが,生物処理後は常に30mg·L-1以下,活性炭処理後は常に3mg·L-1以下であった。この生物処理システムは,薬剤コスト,二次廃棄物量および薬剤タンクのスペースを削減でき,FPI排液処理の新たな選択肢となることが期待される。

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© 2013 公益社団法人 日本水環境学会
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