水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
Print ISSN : 0916-8958
ISSN-L : 0916-8958
原著論文
嫌気性膜分離法(AnMBR)を用いた人工下水処理性能に及ぼす温度の影響
渡邉 亮哉菅生 俊樹若原 慎一郎李 玉友
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 37 巻 5 号 p. 197-204

詳細
抄録
メタンガス回収や汚泥生成量削減の観点から,嫌気性処理と膜分離技術を組み合わせた嫌気性膜分離法(AnMBR)が注目されている。本研究では段階的に温度を下げて,人工下水を用いた連続処理実験を行い,処理性能や物質収支,膜性能に及ぼす温度の影響を評価した。HRT 12hにおいて,25,20,15°Cでの処理水の化学的酸素要求量(COD)及びCOD除去率はそれぞれ18,17,40 mg•L-1,96,96,92%であり,低温処理が可能であることが示された。物質収支においてメタンガス回収率は15°Cで,10%前後低下した。膜性能面において温度低下により膜圧増加速度が増加し,その要因として有機物の目詰まりが考えられた。ケーススタディより,AnMBRは従来の下水処理プロセスと比べて良好な水質,効率の良いエネルギー回収,汚泥生成量の削減が同時に実現する可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2014 公益社団法人 日本水環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top