水環境学会誌
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原著論文
実下水処理施設における硝化プロセスのN2O生成ポテンシャルの解析
見島 伊織吉田 征史藤田 昌史
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2014 年 37 巻 6 号 p. 219-227

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抄録
下水処理施設の窒素除去過程において温室効果ガスであるN2Oが排出されており,処理条件によっては排出量が大きく異なることが知られている。よって,N2O生成ポテンシャルやN2O排出量の変化を議論することで,N2O生成経路の特定やN2O排出量を低減できる条件を考察することを本研究の目的とした。N2O生成活性の評価のため,NO2-Nを添加しN2Oを生成させた試験においては,初期NO2-N濃度の増加および時間経過に伴って生成したN2Oは概ね増加した。これらの結果から,初期NO2-N添加を5 mgN•L-1とし,反応時間を1 hとすることでN2O生成活性を測定することとした。実下水処理施設において,硝化を抑制した運転を行った際にはN2O生成活性が高く,硝化を促進させることでN2O生成活性が低下した。これは,NO2-NのN2Oへの還元とNO2-NのNO3-Nへの酸化が競合することにより生じたと考えられた。また,Nitrospiraが多量に発現し,N2O生成活性を低減するように硝化反応を進行させることで,N2O排出を抑制できると考えられた。
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© 2014 公益社団法人 日本水環境学会
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