水環境学会誌
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調査報告
堤外地における放射性Cs集積に及ぼす微地形の影響-福島県を流れる阿武隈川2次支流を事例として-
三上 剛史眞家 永光嶋田 浩柿崎 竹彦高松 利恵子伊藤 伸彦田中 勝千嶋 栄吉
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2014 年 37 巻 6 号 p. 259-264

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抄録
堤外地における放射性Cs集積に関わる微地形(標高差)の影響を明らかにすることを目的とし,阿武隈川2次支流である石田川の堤外地において,10 m程度の区画から表層5 cmの底質試料を15地点より採取し,放射性Cs濃度,乾燥密度,および,粒度分布を測定するとともに,試料採取地点の標高をRTK-GPSを用いて測量した。その結果,採取試料の放射性Cs濃度は1.46×103~3.43×104 Bq•kg-1であるとともに,試料採取地点の標高(最大比高74 cm)は,放射性Cs濃度,細粒分割合,乾燥密度を有意に説明することができた。その理由として,放射性Csは主に出水時に懸濁態で流出し,出水時に冠水する範囲においては,植生の繁茂する高水敷で懸濁物質の沈降・堆積が起こりやすい一方,標高の低い地点においては,放射性Csを含んだ懸濁物質は水流により洗脱されてしまう可能性が考えられた。
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© 2014 公益社団法人 日本水環境学会
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