抄録
本研究では秋田県八郎湖において藍藻毒ミクロシスチン濃度と16S rRNA遺伝子に基づく藍藻類の種組成の季節的変動,定量PCRによるMicrocystis属有毒株の存在比を調査した。さらに,アオコが集積した湖水よりMicrocystis属,Anabaena属,Pseudoanabaena属の8株を単藻化した。八郎湖では水温が25°C以上になるとクロロフィルa濃度が上昇し,アオコが発生することが確認された。2008年8月にミクロシスチン濃度の増加が認められたが,これはMicrocystis属有毒株の増加に起因していた。さらに,Microcystis属単藻株からmcyA遺伝子が検出され,八郎湖の一部のMicrocystis属がミクロシスチン産生株であることが確認された。本研究の結果,八郎湖におけるミクロシスチン濃度の変動にはMicrocystis属有毒株の優占割合が関係していることが示唆された。