水環境学会誌
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研究論文
秋田県八郎湖における藍藻毒ミクロシスチンと有毒藍藻の季節的変動
岡野 邦宏鈴木 英治太田 栞宮田 直幸谷 幸則尾崎 保夫
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2015 年 38 巻 1 号 p. 23-30

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抄録
本研究では秋田県八郎湖において藍藻毒ミクロシスチン濃度と16S rRNA遺伝子に基づく藍藻類の種組成の季節的変動,定量PCRによるMicrocystis属有毒株の存在比を調査した。さらに,アオコが集積した湖水よりMicrocystis属,Anabaena属,Pseudoanabaena属の8株を単藻化した。八郎湖では水温が25°C以上になるとクロロフィルa濃度が上昇し,アオコが発生することが確認された。2008年8月にミクロシスチン濃度の増加が認められたが,これはMicrocystis属有毒株の増加に起因していた。さらに,Microcystis属単藻株からmcyA遺伝子が検出され,八郎湖の一部のMicrocystis属がミクロシスチン産生株であることが確認された。本研究の結果,八郎湖におけるミクロシスチン濃度の変動にはMicrocystis属有毒株の優占割合が関係していることが示唆された。
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© 2015 公益社団法人 日本水環境学会
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