水環境学会誌
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総説
水田からの窒素,リン,COD流出負荷量の実態と課題
治多 伸介須戸 幹江口 定夫大久保 卓也黒田 久雄武田 育郎藤原 拓山本 忠男人見 忠良白谷 栄作横田 久里子井上 隆信
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2015 年 38 巻 4 号 p. 81-91

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抄録
水田からの窒素,リン,CODの流出負荷量は,閉鎖性水域の環境改善計画や環境研究に活用される重要な基礎数値であり,より多くの信頼性の高いデータが求められている。本総説では,1980年以降の文献から作成した「日本の水田からの流出負荷量データベース(72文献,467データ)」の内容を解説し,日本の水田からの汚濁物排出原単位に関する現状と課題をまとめた。例えば,調査研究面では,灌漑期の調査と,改善農法の効果検証は進んでいる一方で,非灌漑期のデータや,改善農法の種別データが不足しており,これらを充実させることが重要である。さらに,非灌漑期における改善農法の効果検証や新たな負荷削減対策の検討が必要である。行政面では,第7次水質総量削減計画で利用されている原単位は,リンとCODを過小評価している可能性が高く,見直しが望まれる。また,その見直しの際や,各地の環境計画には,今回のデータベースの平均値,25%値,75%値は参考となる。また,慣行農法では,経年的な施肥量減少に伴い原単位が低下しているため,最近のデータを利用することが重要である。海外では,水田原単位のデータは未だ充実していない。他国に対しては,日本の原単位や,改善農法の効果を,今回のデータベースを基にして示すことで,環境改善方針の策定などに大きく寄与できると考えられる。このデータベースはWebで公開されており,行政や研究への今後の幅広い貢献が期待される。
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© 2015 公益社団法人 日本水環境学会
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