水環境学会誌
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研究論文
Sphingobium fuliginis OMI株によるビスフェノールSの分解経路および活性汚泥による分解生成物の除去特性
尾形 有香合田 昌平遠山 忠清 和成池 道彦
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2015 年 38 巻 5 号 p. 139-147

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抄録
4-tert-ブチルフェノール資化菌として分離されたSphingobium fuliginis OMI株は,生物難分解性物質であるビスフェノールS(BPS)を分解可能な菌株である。本研究では,OMI株によるBPSの分解経路を明らかとするとともに,その分解過程において生成された分解生成物が活性汚泥によって除去可能であるかを評価した。OMI株はBPSを水酸化した後,メタ位の開裂によって分解するが,多様な分解生成物を蓄積し,DOCとしての除去はほとんど認められなかった。一方,活性汚泥はBPSを分解・除去することはできなかったが,OMI株によって生成した代謝物を,微生物分解,化学分解や吸着作用を通じ,DOCとして39%を水中から除去できることが示された。これらのことから,一般的な水処理システムである活性汚泥法では除去できないBPSも,OMI株による初期分解を組合せることにより,分解生成物を含めてかなりの部分を処理し得ることが示された。
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© 2015 公益社団法人 日本水環境学会
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