鶏舎洗卵所の低濃度有機性排水処理において,間欠鉛直流式人工湿地を2基直列に用いた水質浄化システムの処理能力を評価した。初期に6.8 mg•L
-1であった処理水のBOD(生物化学的酸素要求量)値は,安定後は2~3 mg•L
-1前後で推移し,90%以上の減少率を示した。SS(懸濁物質)やBODの除去はろ材の粒径が粗い湿地1で進み,D-BOD(溶存態BOD)の除去は細粒のろ材を用いた湿地2で進む傾向が見られた。各測点のNH
4-N濃度は微量であるが,無機化によって生じたNH
4-Nが迅速に硝化され,流下に伴ってNO
3-Nが増加した。OTR(酸素移動速度)平均値は6.5 g•m
-2•day
-1であり,欧米の基準とされる28 g•m
-2•day
-1より低く,負荷量の上限は確認できなかった。湿地内の滞水時間は,冬期は夏期よりも長かった。冬期間は固形有機物の分解が遅れて目詰まりが生じるものの,夏期にかけて水温が上昇し有機物の分解が進行することにより,流下能力の改善が示唆された。
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