抄録
本研究では生態系内のエクセルギー (有効エネルギー) 効率に着目した河川生態環境評価法を提案した。本評価法では河川生態系内のエネルギーフローに着目し, 系内のエネルギー効率を高める (エントロピーを最小化する) ことが生態系の健全性の尺度になると考え, エネルギーの質と量を考慮したエクセルギー効率を河川生態環境評価指標とした。本手法を沖縄本島の複数の小河川に適用したところ, エクセルギー効率によって上流にダムを有する河川, 都市河川, 自然河川ではエクセルギー効率には明確な違いがあることが明らかとなった。また, 水質・生物環境からはその違いが明確でない自然河川の中の異なる3区間の生態系の健全性の違いを定量的に評価できる可能性が示された。