水環境学会誌
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排水のオオミジンコ幼体遊泳阻害試験における残留塩素の影響と対応方法
浦野 紘平太宰 久美子加藤 研太浦野 真弥
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2016 年 39 巻 2 号 p. 39-42

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抄録

国立環境研究所が総排水毒性 (WET) 管理の方法として, 7~8日間 (3~4回水換え) のニセネコゼミジンコ繁殖試験等を提案しているが, 残留塩素等の影響や対応方法については明確にされていない。西田らや著者らは, この方法に比べて広く普及し, 技術的にも容易で経済的な48時間 (水換えなし) オオミジンコ幼体遊泳阻害試験をWET管理に推奨している。そこで, 塩素消毒前後の工場排水と塩素消毒後に適量のチオ硫酸ナトリウムで残留塩素を消去した工場排水, および参考として次亜塩素酸塩溶液のオオミジンコ幼体遊泳阻害試験を行った。その結果, 排水では0.15 mg L-1以上, 次亜塩素酸塩溶液では0.01~0.02 mg L-1以上の残留塩素で毒性を示し, チオ硫酸ナトリウムで残留塩素を消去した排水の毒性は塩素消毒後の排水より低くなった。したがって, WET管理には, 適量のチオ硫酸ナトリウムで残留塩素を消去した排水について毒性試験を行うのが適当と考えられた。

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© 2016 公益社団法人 日本水環境学会
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