抄録
汽水域のように潮汐で塩分濃度が変動する環境では重金属の毒性は水質によって変化する。近年では, 廃棄物や石油等の影響による海洋汚染への関心の高まりを契機に, 汽水域生物や海洋生物を用いたバイオアッセイの開発が注目されている。そこで金属毒性の評価方法として知られているBiotic Ligand Model (BLM) を用いて, 塩分濃度変化による重金属の毒性への影響を説明することを試みた。さらに実環境でもBLMが適用できるかを検討するため, 相模川, 鶴見川の河川水を採取し, 河川水に銅を添加した試料を調製した毒性試験を行った。その結果, 塩分濃度条件の塩化銅の毒性への影響が明らかとなり, BLMを用いることで0.028 mol L-1~0.14 mol L-1の塩分濃度で銅の毒性予測が可能であった。DOC (Dissolved Organic Carbon) の錯形成による銅の活量の低下と塩分濃度として銅イオンの毒性を拮抗的に低減する現象を考慮することで銅の毒性を正確に見積もることができる可能性が示された。