水環境学会誌
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排水と5種類の化合物のオオミジンコ遊泳阻害試験における無機塩類とpHの影響
浦野 紘平太宰 久美子加藤 研太浦野 真弥
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2016 年 39 巻 4 号 p. 115-119

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抄録
国立環境研究所は排水の生態毒性管理方法として5段階希釈によるニセネコゼミジンコ繁殖試験等を提案している。一方, 技術的に容易で, 経済的なオオミジンコ遊泳阻害試験による排水管理が提案されている。本研究では, 5ヶ所の工場の排水と, これらに1/50海水相当濃度となる無機塩類を添加した試料, pHを5.8と8.6に調整した試料, および5種類の化合物を活性炭処理水道水と1/50海水相当の無機塩類溶液に溶かした試料のオオミジンコ遊泳阻害試験を行った。その結果, 無機塩類を添加すると阻害率が低くなり, また, pHでも阻害率が変化することが多いことが示された。これらのことから, 様々な無機塩類組成の水環境中で希釈された場合の排水の毒性を希釈試験で評価することは難しいと考えられた。このため, 排水管理方法として, 無希釈排水のオオミジンコ遊泳阻害試験を行い, 毒性がある排水を放流しないようにする方法を提案した。
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© 2016 公益社団法人 日本水環境学会
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