抄録
10年間の月例河川水質調査に対して移動平均法を用いて中長期変動を除いて短期変動を抽出し, 雨量データ等を併せて解析を行うことで出水時の栄養塩等の流出特性を解析した。懸濁物質の降雨時出水に伴う影響は2日間続いたが, イオン類では3日間, 栄養塩では1日という結果となった。懸濁物質は降雨に伴う濁水の流入で濃度が増加したが, 栄養塩を除くCl-やCa+等のイオンは雨水による希釈効果で濃度は低下した。栄養塩では水質項目毎に挙動が異なっていた。これらは出水時調査の実データによっても裏付けられた。栄養塩の挙動について更に検討したところ, 流域サイズが小さいと希釈による出水の影響が見えやすいが, 流域サイズが大きいと流下過程での生物等による栄養塩吸収を含む生態系内プロセスにより, 希釈効果が見えにくくなったと推察した。これにより採水の難しさから評価しにくかった降雨時出水の解析が, 定期観測データを用いて評価できる可能性が示された。