水環境学会誌
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調査論文
におい嗅ぎGCを利用した下水処理水の臭気の分析
浦瀬 太郎筒井 裕文中村 和也
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2018 年 41 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

下水処理水には特有のにおいがあるが, その原因物質は明らかになっていない。本研究では, におい嗅ぎガスクロマトグラフ (GC-O) を用いて, 下水処理水の臭気の原因物質を7か所の処理場処理水を対象に調べた。反応タンクに覆蓋のある大規模な下水処理場処理水のにおい嗅ぎGC分析では, 2,4,6-トリクロロアニソール (TCA) の臭気を最も強く, あるいは, 二番目に強く感じた。これらの処理場の処理水に含まれる2,4,6-TCA濃度は11.6~21.2 ng L-1であり, 臭気閾値の100倍程度に達するものであった。また, すべての下水処理水で2-メチルイソボルネオール (MIB) およびジオスミンのかび臭を比較的強く感じた。さらに未同定の甘臭成分の下水処理水臭への大きな寄与が観察された。反応タンクに覆蓋のない小規模処理場の処理水には, かび臭成分に加えて, 大規模な処理場処理水にはほとんど見られない酸味臭, 腐敗臭/硫黄臭成分が含まれていた。

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© 2018 公益社団法人 日本水環境学会
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