2018 年 41 巻 5 号 p. 115-122
琵琶湖における植物プランクトン群集については, その長期変動が解析されているが, これらのほとんどは群集全体の経年変化に注目したものであり, その季節的消長, いわゆるプランクトンカレンダーが長期的にどのように変化してきたかは, 十分に解析されていない。本研究では琵琶湖北湖における1978年から2014年までの植物プランクトン分類群の生物量からBray-Curtis類似度指数を用いて季節的消長の類型化を行い, 植物プランクトンの季節変化パターンをPEG (Plankton Ecology Group) モデルと比較することで, 琵琶湖における水質の長期変動と植物プランクトン季節変化の変化応答について検討した。その結果, 植物プランクトンの季節変化パターンが特異的な変化を察知するだけでなく, 栄養塩濃度などと併せて琵琶湖の栄養状態や水質を評価する感度の高い指標としても有用であることが明らかとなった。