APU言語研究論叢
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大学の日本語授業において「問う力」を養成する意義
――「問い」の評価基準の変化と学生の成長 ――
花村 博司 板橋 民子井上 佳子隈井 正三黒田弘美
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2024 年 9 巻 p. 31-43

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抄録

留学生を対象とした大学の日本語授業において、意義のある「問い」を立てる「探究活動」プロジェクト を行う中で、問いやその評価について教員が学び、教育活動の改善を通して学生が良質な問いを立てられる ようになるための学習デザインの確立を目指した。具体的には、「質問づくり」の練習を重ね、「良い問い」 について学生同士で話し合ったり、問いを評価するルーブリックを作ったりする活動を行った。本研究では、 「問う力」を養成する意義について、履修生に対する修了直後のアンケート、修了後半年以上経過した元履 修生に対するアンケートおよびインタビューを実施し、「問い」の評価基準の変化と学生の成長という観点 から分析を行った。その結果、学生が考える「良い問い」が、形式重視の質問から思考を促す質問に変化し たことがわかった。また、学生は探究活動を通して、言語能力の向上だけでなく、思考力が身に付いたと認 識していた。このことから、大学の日本語授業において「問う力」を養成するために行う活動は学生の言語 能力と思考力の向上を促すという意義が確認できた。

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© 2024 立命館アジア太平洋研究センター
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