ヤマトシジミを用いて摂餌実験, 排泄実験, 呼吸実験を行い, 摂餌炭素量, 排泄炭素量, 呼吸による排出炭素量をTOC計のみで測定し, 成長に利用可能な炭素量 (成長力) を簡便に評価する手法を検討した。摂餌実験では, ヤマトシジミをプランクトンネットに入れて擬糞の排出量を見積もることにより, TOCをもとに真の摂餌量を評価することができた。排泄実験では, ヤマトシジミの排泄物からの炭素溶出を無視し得る条件とすることで, POCをもとに排泄量を評価することができた。呼吸実験では, 餌源である培養珪藻類の呼吸量に留意したうえで, サンプルへのCO2混入を防ぐことで, DICをもとに呼吸量を評価することができた。本手法を5, 10, 20 psuの塩分に曝したヤマトシジミに適用したところ, 5 psuでは成長力が相対的に大きく, 20 psuでは逆に小さく見積もられた。高塩分では成長が抑制されるという既存の知見と対応が見られた。