水環境学会誌
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技術論文
複数の界面活性剤の掃流係数キャリブレーションによる産総研-水系暴露解析モデル (AIST-SHANEL) の推定精度向上
西岡 亨本田 大士舞原 文女佐々 友章本多 泰揮石川 百合子森田 修山根 雅之
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2018 年 41 巻 5 号 p. 129-139

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抄録

化学物質の全国暴露状況の把握において, 汎用的かつ高精度な暴露解析モデルの利用が不可欠である。本研究では, 暴露解析モデルの活用指針に繋がる知見を得る為, 産総研-水系暴露解析モデル (AIST-SHANEL) Ver.3.0を用いて, 5種類の界面活性剤を対象に河川水濃度の推定性能を評価した。また, 化学物質の土壌吸着性に関わる有機炭素水分配係数 (Koc) と, 化学物質の流出特性を示す水路底泥の負荷流出係数 (掃流係数) の推定性能への影響を確認した。その結果, Kocが小さい (1×103 L kg-1 オーダー) 界面活性剤は掃流係数30 m-1程度, Kocが大きい (1×105~6 L kg-1 オーダー) 界面活性剤は300~1000 m-1程度で, 良好な推定性能を示した。化学物質のKoc値に従って適切な掃流係数を設定することで, 本モデルは様々な化学物質の暴露評価に利用可能と考えられる。

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© 2018 公益社団法人 日本水環境学会
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