水環境学会誌
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技術論文
アミトラズおよびその分解物のLC-MS/MSによる同時分析および消毒剤による分解挙動
木下 輝昭山崎 貴子中川 慎也小田 智子小西 浩之守安 貴子
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2019 年 42 巻 2 号 p. 73-78

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抄録

平成25年3月, 厚生労働省健康局長より農薬類の対象農薬リストの改正が通知された。その中で, アミトラズが新たに対象農薬リストに追加されたが, アミトラズは加水分解性が高く, その分解物であるN-2,4-ジメチルフェニル-N-メチルホルムアミジン (DMPF) および2,4-ジメチルフェニルホルムアミド (DMF) の測定も必要であると考え, 3物質の定量分析条件の検証を行った。また, 有機溶媒含有率の違いによる検量線用標準液の保存性を調査したところ, アミトラズではアセトニトリル含有率50 v/v%, DMPFではメタノール含有率1~10 v/v%, DMFではメタノール含有率5~50 v/v%で保存性が高くなる傾向が見られた。平成29年5, 7, 10月および平成30年1月に多摩川水系河川水11地点における3物質の存在実態調査を行ったところ, 全調査における全地点で3物質は定量下限値未満であった。ただし, 5月の調査で, DMFが痕跡程度検出している地点があった。3物質の水道水中における存在実態状況を把握するため, 次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒剤による分解性を調査した。その結果, アミトラズは20時間程度で消失し, DMPFは消毒剤の添加直後に消失した。一方, DMFは5時間程度で半減するものの, その後は穏やかに減少していた。水道水中におけるアミトラズの測定では, アミトラズ単体の他に分解物であるDMFを同時に測定する必要があることが示唆された。

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