2019 年 42 巻 3 号 p. 105-115
日本沿岸域における, 海水中の銅の生態リスク評価を行った。リスク評価を行う際の有害性評価手法として, 環境省の環境リスク初期評価で採用されている手法, および, 欧米において水質クライテリアの設定時に使用されている, 生物利用可能性を考慮した複数の手法を用いた。リスク判定にはハザード比 (HQ) 法を用いた。収集できた過去31年分の日本沿岸域の海水中銅濃度1,622データを用いてリスク評価を行ったところ, HQが1を超える海域は, スクリーニングレベルの評価では全体の70.2%であったが, 生物利用可能性を考慮すると, 3.6~4.0%となり, 有害性評価手法に依存してリスク判定結果は変化した。また, 生物利用可能性を考慮すると, 同じ湾内でも地点によっては水質が異なるため, リスク判定の結果に差が出た。日本近海に生息する種の有害性データや日本沿岸域の海水中銅濃度の取得に取り組むとともに, リスク判定に採用する評価方法については吟味が必要である。