2019 年 42 巻 6 号 p. 239-246
本研究では3種類の異なる特性を持つ土壌抽出液と7種類の微細藻類を用意して培養実験を行い, 土壌抽出液の微細藻類増殖に及ぼす効果を, 抽出物に含まれる溶存有機物特性との関連から評価した。多条件での培養を実現するためにマイクロプレート培養法を適用した。結果として, 国立環境研究所で利用されている土壌抽出液 (SE-N) が25 ℃の培養条件で最も高い藻類の成長促進効果を持つこと, Raja Musa Forest Reserve (SE-R) で採取された土壌の抽出液 (SE-R) が, 30 ℃の培養条件で成長促進効果を持つことを明らかにした。さらに各土壌抽出液に含まれるDOMの蛍光特性から, SE-Nは励起・蛍光マトリックス (EEM) 上においてトリプトファン様ピークを持つ高分子の有機物を多く含んでおり, こうした有機物が微細藻類の成長に影響を及ぼすことが示唆された。