2019 年 42 巻 6 号 p. 269-275
本研究では, 遠心脱水機に導入する汚泥の調質プロセスを想定し, 消化汚泥の各性状項目 (11項目) と高分子凝集剤の最適薬注率の関係を検討した。さらに, 汚泥を遠心分離して得られる上澄み液 (コロイド状物質と溶存物質の混合相) に着目し, 上澄み液の性状項目を追加した。そして, 最適薬注率を支配する性状項目について検討した。その結果, TSと最適薬注率には相関関係が認められなかった。そこで, 最適薬注率は汚泥の総質量を基準とし, 汚泥質量と高分子凝集剤の添加量から評価した (g 100 g-汚泥質量-1=%対汚泥) 。各種の性状項目の関係を再度検討した結果, 上澄み液のアニオン度と濁度は, 高分子凝集剤の最適薬注率と最も強い相関関係を示した (相関係数r:アニオン度, 0.73;濁度, 0.68) 。したがって, 対象とする原汚泥を遠心分離処理し, 上澄み液の濁度を測定するのみで, 高分子凝集剤の最適薬注量が予測できることがわかった。