水環境学会誌
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調査論文
近隣に位置する湧水の水質組成に対する土地利用の関係
辻 盛生長澤 裕太郎伊藤 英之鈴木 正貴
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2020 年 43 巻 2 号 p. 55-62

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抄録

河岸段丘周辺の5カ所の湧水を対象に, 1年間の水質変動と冬季の硝酸安定同位体の関係から, 地上部の土地利用が地下水に与える影響を評価した。その結果, 湧水涵養域側の土地利用が山林である2湧水の水質組成は極めて近く, 人為の影響を受けていない水質と考えられた。周辺が水田の段丘面の湧水は, 硫酸アンモニウムの影響を受けたと考えられる水質組成であったが, NO3-N濃度は低かった。段丘面の土地利用が畑地である段丘崖の湧水では, 苦土石灰や塩化アンモニウム等の化学肥料の影響が示唆される水質を示した。段丘面上に養鶏施設や住宅地がある湧水では, 有機物由来の窒素やK+, Na+, Cl-の濃度が高く, 生活排水由来の汚染が懸念された。

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© 2020 公益社団法人 日本水環境学会
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