水環境学会誌
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調査論文
都市淡水域における底泥中マイクロプラスチックの濃度分布と起源推定:江津湖 (熊本市) と大濠公園池 (福岡市) を例に
恵良 要一中田 晴彦
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2020 年 43 巻 3 号 p. 107-112

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抄録

都市淡水域の底泥を対象に, マイクロプラスチック (MP) の汚染現状の把握と起源推定を試みた。その結果, 大部分の調査地点でMPが検出され, 濃度値は熊本市の江津湖が725~1,034 個 kg-1乾燥重, 福岡市の大濠公園池は61 個 kg-1であった。大濠公園池では砂ろ過や無機凝集剤を用いた凝集沈殿が可能な浄水設備が稼働しており, これが地点間の濃度差を生じた理由と考えられた。一方, 両地点のボート乗場周辺の底質から江津湖で36,086 個 kg-1, 大濠公園池で2,794 個 kg-1という高濃度のMPが検出された。いずれもアクリルの一種であるポリメタクリル酸メチル (PMMA) が卓越しており, 他地点とは異なる傾向を示した。また, ボート塗料の破片を分析したところ, PMMAであることがわかった。本結果は, 都市淡水域におけるMP発生源の一つにボート塗料の可能性を示しており, この種の知見はMP汚染対策の一助になると考えられる。

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© 2020 公益社団法人 日本水環境学会
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