水環境学会誌
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調査論文
台風0418号による干潟の底生動物群集への短期的, 長期的影響
平岡 喜代典大道 優平中原 真哉池田 武司岡田 光正
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2020 年 43 巻 3 号 p. 97-105

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抄録

本研究の目的は, 2001年~2016年のモニタリング結果に基づき, 台風0418号が岩国市地先干潟の底生動物群集に及ぼした影響を明らかにすることにある。アマモ, コアマモからなるアマモ場が, 2004年9月の台風0418号の襲来によって消失し, その後も2005年の0516号と2006年の0613号と台風が続いたことで, 台風前の面積水準に戻るまでに8年以上を要した。この間, 河口付近の干潟の含泥率, COD及びILの変動は大きく, アマモ場面積の経年変化パターンと一致しなかった。干潟の底生動物は, 台風0418号襲来後, 種類数, 個体数, 湿重量のいずれも著しく減少した。これらの値は, アマモ場の消失・低迷期に低く, 2009年以降の回復期に増加する傾向にあった。これらのことから, 台風0418号が, 物理的撹乱によって底生動物群集に短期的な影響を及ぼしただけでなく, アマモ場の存在が底生動物にとって重要で, その後の台風とともに, アマモ場の消長に関連して長期的な影響を及ぼしていることを示す。

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© 2020 公益社団法人 日本水環境学会
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