水環境学会誌
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緑藻類繁茂ハス田田面水における溶存酸素濃度変動がハス田土壌からのリン溶出に及ぼす影響
飯尾 恒小室 俊輔北村 立実松本 俊一
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2020 年 43 巻 4 号 p. 113-117

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抄録

茨城県のレンコン出荷量は全国一位を占めている。これまでの研究で, 茨城県土浦市手野地区のハス田群において, 夏季にTPの流出負荷量が上昇した。この原因解明のため, 本研究では手野地区の緑藻類がほぼ全面に繁茂するハス田においてDO濃度およびTP濃度, PO4-P濃度の調査を行った。その結果, ハス田田面水は緑藻類を含めた植物プランクトンの発生に伴い, DO濃度が過飽和になることが認められた。さらに, ハスの立葉が繁茂し始めると, DO濃度が4 mg L-1以下への低下が認められた。また, ハス田田面水のDO濃度が4 mg L-1以下になると, TP濃度がレンコン収穫後と比べ約2倍に上昇し, TPの中でPO4-Pが占める割合が用水に比べ, ハス田で有意に高い値を示した。これらのことから, 緑藻類繁茂ハス田では, 夏季にDO濃度が低下し, その影響でハス田底泥からPO4-Pが溶出し, TP濃度が上昇することが示唆された。

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© 2020 公益社団法人 日本水環境学会
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